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Hon-Cafeでは、毎月スペシャルゲストをお呼びしています。
4つのテーマで、毎週1冊づつゲスト愛読の「とびきりの1冊」を教えていただきますので、どうぞお楽しみに・・・!
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■横山 雅子さん (マックス・ヴァルト研究所 代表取締役)
今月のスペシャルゲストは、情報機器関連を中心としたマーケティング&コンサルティング会社を経営される「マックス・ヴァルト研究所」の代表取締役・横山雅子さん。
いつも新しい発見に対するアンテナ全開(!)、パワフルで格好いい「姉御肌」な横山さん。なんと、作家桐野夏生さんの親友で、小説「OUT」の主人公のモデルになった方でもあります。
今月は、そんなマーケター&経営者の横山さんに「新しい視点や刺激」をくれる本をお伺いしました!
株式会社マックス・ヴァルト研究所
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| 4週目‥‥横山さんに「新しい視点」のヒントをくれた1冊は? |
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自身の病んだ経験をさかのぼり、その心の在りようをこれでもかと緻密に書いています。
著者ロリ・シラーが突然発病したのは、17歳の夏。仲間と行った楽しいものであったはずのキャンプ地で、突然聞こえるはずのない<声>が聞こえます。「おまえは死ななくてはならない」「おまえは死ぬのだ」。
病がもたらす暗くて恐ろしい心の闇を、彼女は、信じられないぐらい入念に描きます。壮絶な病気の発作、いつも聞こえる<声>との闘い、常軌を逸した心の動き。読んでいて驚愕を覚えるほどの錯乱状態をも、忠実に文章の中で再現しようとする著者の強さに、心から敬服せざるをえません。
最後の章で、彼女が郵便配達の少年に、自分と自分の病気について書かれている記事を見せるくだりがあります。彼の恐怖の顔(多くの人がそうするように)を予想していた彼女に向かって、賛嘆の表情で少年はいいます。 「いろいろな声が聞こえるんですか? すげぇ!!」
この少年の言葉は、感動的です。心の病気、それは病気をも含めてその人の「個性」なのだ。少年のように、妙な先入観なしでそのままの相手を見つめたい。ロリの経てきた魂の旅を、この本で彼女とともに体験したら、きっと誰もがそんなふうに思えるはずです。
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| 3週目‥‥横山さんに「仕事に役立つ刺激」のヒントをくれた1冊は? |
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この本は、R・ドーキンス(英の動物行動学者)が「利己的な遺伝子」のなかで提唱した「ミーム」という概念を、わかりやすく解釈しなおした本です。
「ミーム」とは、「脳から脳へ伝達される心の情報」。人間は、「遺伝子≠ニミーム≠ニいうふたつの自己複製子≠ノよって進化してきた」というのがドーキンスの説です。
しかし、学問の言葉って、なんでこう「活きた」言葉ではないのだ?そこでこの本では、「ミーム力」という独自の言葉を使い、ミームを学問から外の世界へ引っぱり出して、我々の日常や仕事に活かせるものにしています。
簡単にいうと、あらゆるものには「ミーム力」の強弱があって、強いミーム力をもつものは、世に定着する、弱いものは淘汰されるということ。遺伝子と同じなのだけど、「自己複製子」なんていうより、すっと心に入ってきませんか?「ミーム力が強い」というと、なんとなく生き残ってゆきそうなしぶといオーラを感じますよね。
さらに、ミームを流行ミーム、習慣ミーム、伝統ミーム、掟ミーム、仕掛けミーム、伝道ミーム、伝説&物語ミーム等に分類し、我々が日常の中で実感できるような説明を加えています。
印象的だったのは、「ミーム力を強くするのは信念」というくだり。遺伝子はどうしようもないけど、ミームは意思でなんとかできる、やはり信念を持って仕事せねば……。 なにはともあれ、仕事で企画やマーケティングに携わる方には、きっと目ウロコの本だと思います。
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| 2週目‥‥横山さんが、「最近読んで感動した」1冊は? |
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哀しいです。せつないです。だけど、キラキラしています。
この小説には4人の女子高生が登場します。ある事件をきっかけにして、少女たちは心のなかの「リアルワールド」に、向き合わざるを得なくなります。そのプロセスが、痛々しいほど勇猛果敢で、そしてせつない。
「現実」という世界に違和感を抱える少女たちは、事件を発端にまるでその機を待っていたかのように、自在に心のなかの「リアルワールド」を膨らませます。彼女たちがそれぞれのリアルワールドと、日常という現実を行き来するときに生じる摩擦感が、その一瞬まるで流れ星のように、少女たちを輝かせているように感じられます。
物語のラストで一人の少女が、自らの真のリアルワールドを目指し、死を選びます。それは悲しいことであるはずなのに、桐野夏生の手にかかると、未来への光を帯びたエピソードに変容してゆく。それを読むものたちの道筋を照らすように。
読後、まだ自分の心の片隅に潜んでいるかもしれない自分のリアルワールドを、探し、育んでみたくなりました。それが、これからの自分をまた少し変えてゆくかもしれない、そんな期待をも抱きました。
わたしが感じたキラキラ感。それはひょっとしたら、リアルワールドのなかにあるかもしれぬ妄想に似たもの、それらが人にもたらす「希望」なのかもしれない。 素晴らしい小説です。百人百様の感じ方ができる本です。ぜひご自身のリアルワールドを掘り返してみてください。
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| 1週目‥‥横山さんがちょっと気持ちがしんどいな、と思ったときに読む本は? |
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約一ヶ月後、2003年4月7日は鉄腕アトムの誕生日です。アトムを生んだ手塚治虫が、生涯描き続けた夢。その夢の原点が「昆虫」にあったことは意外と知られていないのではないでしょうか。氏は自らのペンネームに「虫」をつけたほどの昆虫マニアでした。
この本は、彼が16歳のときから書きつづっていた、手書きによるエッセイと昆虫図鑑を彼の死後、復刻したもの。本のなかには随所に、16歳であった氏の手書きによる、原稿と昆虫の精細な図が載せられています。
昆虫好きの方はもちろん、興味のない方へも、この本のなかのエッセイはぜひオススメ。わたしたちが遠い昔子供の頃に感じた、未知のものに対する、怖れにも似た言いようのないときめきと憧れ、そんな懐かしい気配が蘇ってきます。
オオムラサキに出会ったときの興奮、緊張、喜び。アリの列を追って、山深く入り込んだときに見えた真っ赤な夕焼け。長い地下生活の後に生まれ出てきたセミたちの地上での7日間を、せめてその声を賞玩することで完結させてあげようという慈しみ。天才とはかくも恐るべし!16歳の氏の文章はすでに、自在にペンを書き動かす「大家」のもので、読む者の心を捕らえて離しません。
気持ちが疲れたとき、わたしはこの本を開きます。ぱっと開いて、開かれたページを読みます。どこを開いてみても感じることができるのは、ただひたすら純粋に不可思議なもの、美しいものを追っていた少年少女時代の、あくなき探究心、そして夢。
癒しブームの昨今ですが、この本はわたしにとって密かな「癒し本」です。
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